絞る問い — 問いの本質に近づく

004_絞る問い ビジネス

問いには、大きく2つの種類があります。ひとつは、現状と「こうなっているはずだった」という期待値のズレから生まれる問い。もうひとつは、現状と「こうありたい」という理想の状態とのギャップから生まれる問い。

前者は問題(Problem)、後者は課題(Issue)として捉えることができます。

そして、

  • 問題を扱う問いが、絞る問い(Problem-driven Question)
  • 課題を扱う問いが、伸ばす問い(Goal-driven Question)

このうちの絞る問いに焦点を当てます。

✦ 絞る問い(Problem-driven Question)

→現状と期待値のズレを見つけ、その構造を明らかにするための問い。

もう少し言葉を足すと、絞る問いとは、

✦ 絞る問い:「ギャップの正体を静かに明らかにするための問い」

現状と期待値のズレを、どこで・なぜ・どのように・どの程度 生まれているのかを見つけるための問いです。問題の本質は、表面には現れません。その奥にある“構造”を見つけるために、思考を深めていきます。

絞る問いの立て方を整理する

ここで一度、「絞る問いの立て方」を明確にしておきます。単に「なぜ?」と尋ねるだけでは、問題の本質には届きません。

絞る問いの立て方(定義案)

① 現象をそのまま問うのではなく、「ズレの構造」を問う

  • 「なぜ売上が落ちたのか?」ではなく「どのプロセスで期待値と現実がズレ始めたのか?」

現象そのものではなく、「どこで」ズレが生じ、「どういう構造で」それが起きているのか に問いを向けます。

② 時間軸を遡り、変化点を問う

  • 「いつからズレが生まれたのか?」
  • 「その前後で何が変わったのか?」

問題は突然現れたように見えて、実際にはどこかのタイミングから少しずつズレ始めています。

③ 暗黙の前提を問う

  • 「私たちは何を当然だと思っていたのか?」
  • 「その前提は今も有効なのか?」

期待値は、いつも何らかの前提の上に立っています。その前提がズレていると、問題は繰り返し発生します。

④ 境界を問う

  • 「どこからが問題で、どこまでは問題ではないのか?」
  • 「このズレは、どの範囲に影響しているのか?」

境界が曖昧なままだと、問題が際限なく広がったり、逆に矮小化されたりします。

⑤ “原因”ではなく“構造”を問う

  • 「なぜ起きたのか?」ではなく
  • 「どういう仕組みで、そうならざるを得なかったのか?」

誰か一人のミスや一度きりの出来事ではなく、その現象が“起きやすい状態”になっていた背景を探ります。

これらの視点をまとめると、絞る問いは次のような型で表現できます。

「ズレはどこで生まれ、どのような構造によって、どの程度起きているのか?」

絞る問いは「ズレ」から始まる

絞る問いの出発点は、いつも小さなズレです。

  • 思っていたのと違う
  • 期待していた結果にならない
  • どこかが噛み合っていない

この“違和感”は、問題そのものではありません。問題の入口であり、手がかりです。

絞る問いは、このズレを雑に扱わず、「何がどうズレているのか」 を丁寧に言語化するところから始まります。

絞る問いが浅くなるときに起きる“あるある”

あるある1:表層の課題に飛びつく

現象だけを見て、すぐに対策に走ってしまう。

  • 「離脱率が高い → UIを改善しよう」
  • 「売上が落ちた → 広告を増やそう」

ズレの構造を見る前に、「打ち手」の話に移ってしまうパターンです。

あるある2:原因探しが“犯人探し”になる

「誰が悪いのか?」という議論に寄ってしまい、構造が見えなくなる。

  • 「あの部署のせいだ」
  • 「あのタイミングの判断が悪かった」

これでは再発防止にはつながりません。

あるある3:前提を疑わない

「そもそもこの前提は正しいのか?」を問わないまま、議論が進んでしまう。

  • 「ユーザーはこういうものだ」
  • 「このやり方が業界の常識だ」

といった“暗黙の前提”を見直さないことで、問題が固定化されてしまいます。

絞る問いを深めるための小さな習慣

絞る問いは、特別なテクニックというより、日常の中での“問い方の姿勢”に近いものです。

習慣1:違和感をメモする

言語化できなくてもいいので、「なんとなく気になる」をそのまま残しておく。

習慣2:前提を書き出す

「自分は何を当然だと思っているのか?」を紙に書いてみる。前提が見えると、ズレの輪郭も見えやすくなります。

習慣3:境界を描いてみる

「どこからが問題で、どこまでは問題ではないのか?」を図やメモで線にしてみる。

おわりに

あらためてまとめると、絞る問いとは、

「現状と期待値のズレを見つけ、その構造を明らかにするための問い。」

そしてその実態は、

「ギャップの正体を静かに明らかにするための問い」

でもあります。

  • 現象ではなく、ズレの構造を問う
  • 時間軸を遡り、変化点を問う
  • 暗黙の前提を問う
  • 境界を問う
  • 原因ではなく、構造を問う

このような問いを重ねていくことで、問題の本質は、少しずつ輪郭を持ちはじめます。

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