そのとき、うまく答える人は「不安の扱い方」を知っている。
企画や提案の場では、必ずと言っていいほど質問が飛んできます。
そして、ときには質問者がイライラしたり、強い口調になったり、ひどい場合は怒り出すことさえあります。
「ちゃんと答えているつもりなのに、なぜ」
「わからないことを正直に言うと、余計に場が荒れる…」
そんな経験をした人は多いはずです。
今回は、質問者がイライラする本当の理由と、不安を増やさずに答えるための“技術”について扱います。
質問者がイライラするのは「答えが弱いから」ではない
もちろん、質問に答えられないと不安は生まれます。
でも、それは表面的な理由にすぎません。
本質は、思考のフレームが噛み合っていないことにあります。
質問者は、あなたの企画を次の5つの観点で見ています。
・価値
・実現性
・危険性
・効果の大きさ
・効果のタイミング
これは前回の記事で扱った「未来を選ぶ5つの観点」と同じ構造です。
つまり、企画を考えるときの観点=質問されるときの観点なのです。
質問者がイライラする“5つの理由”
● 1. 価値が見えない
価値の文脈が共有されていないと、話が噛み合わずイライラにつながる。
● 2. 実現性が見えない
方法や体制が曖昧だと、“地に足がついていない”印象になり、不安が刺激される。
● 3. 危険性への認識が浅く見える
これは“穴探し”ではなく、あなたがどこまで見えているかを確認しているだけ。
● 4. 効果の大きさが伝わらない
判断材料が揃わないと、企画の価値そのものが疑われる。
● 5. 効果のタイミングがズレている
時間軸が揃わないと、“この人は現場の感覚を理解していない”と感じられる。
もう一つの大きな理由:質問者自身の“不安”
ここが、多くの人が見落とすポイントです。
質問者がイライラしているとき、
その矛先はあなたではなく、質問者自身の内側にある不安であることが多い。
たとえば:
・自分の責任が増える不安
・失敗したときのリスク
・上層部への説明責任
・過去の失敗体験のフラッシュバック
・時間がない焦り
・判断を誤りたくないプレッシャー
こうした“内側の不安”が、質問という形で表に出てくる。
つまり、質問は企画への攻撃ではなく、質問者自身の不安の表現であることが多い。
「わかりません」は火に油
わからないことを正直に言うのは誠実ですが、「わかりません」だけでは相手の不安を増幅します。
・準備不足なのでは
・リスクを理解していないのでは
・自分が責任を負うことになるのでは
こうした不安が一気に膨らむ。
だから、正直さだけでは足りない。
不安を増やさずに答える“3ステップ”
● ステップ1:まず“問いの意図”を受け止める
いきなり答えようとしない。
「その視点、確かに重要ですね。」
「そこが気になるのはよくわかります。」
これだけで、相手の攻撃性が一段落する。
● ステップ2:わかっている範囲を“部分的に”示す
全部わからなくてもいい。
「現時点で把握しているのはここまでです。」
「この部分までは確実に言えます。」
これで、状況を整理できている人という印象が生まれる。
● ステップ3:わからない部分は“調べ方”と“期限”を示す
ここが最重要。
「この先のリスクは、AとBを確認すれば明確になります。」
「明日までに整理して共有します。」
これが言える人は、わからないことをコントロールできる人として信頼される。
質問者が本当に求めているもの
質問者は、完璧な答えではなく“見通し”を求めています。
・どこまで確定しているか
・どこからが未確定か
・どうやって明らかにするか
・いつまでに答えられるか
これが示されるだけで、相手の不安は大きく減る。
おわりに
質問に強い人は、
「全部答えられる人」ではなく、「不安を扱える人」です。
・意図を受け止め
・わかる部分を示し
・わからない部分は“どう明らかにするか”を示す
この3つができれば、提案の場は驚くほど穏やかになります。
そして、質問は企画を否定するものではなく、
企画を磨くための対話になります。

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