企画や戦略を立てる時、いくつかの前提条件を置いて考え始めます。
- 市場は成長するはずだ
- ユーザーは使いこなしてくれるだろう
- 競合は動かないだろう
- このチームならこのスケジュールで対応できるはずだ
- この価値は、きっと伝わるはずだ 等々
こうした前提は、思考の出発点として必要なものですが、実際には、前提が変わったり、崩れたりすることは珍しいことではありません。
むしろ、企画や戦略の現場では、前提が揺らぐことの方が自然で、よくある話だと感じています。
前提が崩れた時に思考を止めないために
前提が外れた時に、「当たった」「外れた」だけで終わってしまうことがあります。
これは、前提が“未来をひとつの線として”置かれている時に起きやすい状況です。
「市場はこう動くはずだ」
という前提は、外れた瞬間に思考が止まります。
そこに問いが生まれないからです。
一方で、良い前提は、未来をひとつに固定しません。
未来には複数の状態があり、その幅の中で考えてみる。
そのように前提を“仮置きの視点”として扱うことで、前提が崩れた瞬間に自然と問いが立ち上がります。
「市場がこう動く前提で考えるとしたら、どうなるだろう」
「逆に、別の動きをした場合はどうなるだろう」
未来を複数の状態として扱うと、前提が崩れた時に、
- どの条件がズレていたのか
- なぜその前提を選んだのか
- 他にどんな状態があり得たのか
といった問いが立ち上がり、次の思考につながっていきます。
悪い前提と良い前提の違い
悪い前提:未来を断定してしまう
「市場はこう動くはずだ」
- 未来を一つに固定してしまう
- 外れたら“失敗”になる
- 思考が止まる
- 改善の余地が生まれない
良い前提:未来を“複数の状態”として扱う
「市場がこう動く前提で考えるとしたら、どうなるだろう」
- 未来をひとつに決めつけない
- 条件を“思考の出発点”として置く
- 外れた時に“どこがズレたのか”という問いが立つ
- 改善の方向性が自然に見えてくる
良い前提は、外れた瞬間に思考が深まるように設計されていると言えるのかもしれません。
前提を置く時に意識していること
1.前提は“事実”ではなく“仮置き”であること
前提は固定ではなく、思考を始めるための出発点。崩れたら更新すればいい。
2.変わりにくいものを土台にすること
人の欲求や構造のように、揺れにくいものを下に置き、変わりやすいものは上に軽く積む。
3.未来を複数の状態として扱うこと
未来には幅があり、その中でどんな状態が起こり得るのかを見ておく。その幅の中で前提を置くと、崩れた時に自然と問いが立ち上がる。
この3つを意識しておくと、前提が崩れても、それは逆境ではなく“更新のきっかけ”として扱えるようになります。
おわりに
前提条件は、未来を当てるためのものではなく、思考を進めるための“仮の出発点”のようなものだと思っています。そして、その前提が崩れた時に問いが立ち上がるかどうかが、次の一手の質を決めていく。
前提をどう置くかは、企画や戦略の思考において、気付きにくいかもしれませんが、とても大事なテーマなのかもしれません。


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